第 5 章 LLLT(低出力レーザー療法)
●第 5 章 第 3 節
・肉体的ストレス・精神的ストレスを受けた時、細胞内では何が起こる?
さて、第5章も今回が最終頁となります。
そして、『A t h l e t e P h y s i c a l I n t e l l i g e n c e 』の最終回となるわけです。
最後まで、皆さまにとって有意義な情報を論じて参りたいと思います。
肉体的ストレス、精神的ストレスと言うと、とても抽象的であるうえに、肉体的ストレスは紫外線、大気汚染、インターバルトレーニングから、精神的ストレスは配偶者の浮気、借金、レンジでおかずを温めていたのを忘れてご飯を食べ終わってしまったなど多岐にわたります。
ただ、細胞内で起きていることは常に同じです。
私達が生きていく上で必要なエネルギーは主に細胞内のミトコンドリアという器官で酸素を用いて作られます。
その時、化学反応にはシトクロムC酸化酵素という酵素が必要になります。
精神的・肉体的ストレスを受けると細胞内では一酸化窒素が生じるのですが、この一酸化窒素とシトクロムC酸化酵素が結びつくとシトクロムC酸化酵素が正常に働かなくなります。
シトクロム C 酸化酵素が働かなくなった細胞内では細胞が傷ついたり、コピーミスにつながったりするので、その数が多くなれば、老化、しみ、しわ、抜け毛につながり、その程度がひどければ動脈硬化、心筋梗塞、アルツハイマー、癌などにつながります。
ところが、600ナノメートルから1000ナノメートルの光を当てるとシトクロムC酸化酵素が一酸化窒素から守られることが分かっています。
またそれだけではなく、シトクロム C 酸化酵素は、この長さの波長を良く吸収し、細胞内でのエネルギー産生が活発になります。
エネルギーが必要と言うと、何かインターバルトレーニングでもやるようなイメージがあるかもしれませんが、体温維持、呼吸、心臓を動かす、寝ている時の筋修復、食べ物の消化など、無意識にやっているような行動も含めて人間の体内の一切合切の活動はエネルギーが無いとできません。
そのエネルギーの産生量が大きくなるので様々な治癒過程が促進したり、抜け毛が治ったり、男性ホルモンが上昇したり、老化が遅くなったりと様々な効果が期待できるわけです。
●第 5 章 第 4 節
・具体的にはどの LLLT 機器を使うべき?
さて、このように大きな効果が期待でき、副作用のないLLLTですが、残念ながら日本国内では、全然普及していません。
もし買うとすればどのような機器を買えばよいのか、ここでは簡単なガイドラインを示しておきたいと思います。
先ずは波長ですが、600ナノメートルから1000ナノメートルの間で複数の波長の長さの組み合わせのものが良いです。
これは波長によって、届く組織までの深さが違うからです。
波長が長いものは深部まで届きます。逆に言えば、美容目的であれば皮膚の表面にさえ届けばよいので、600ナノメートルのものを一つ買えばよいと思います。
中には400ナノメートルと600ナノメートルの組み合わせのものもあります。
ただ、LLLTはちょっとした切り傷やねんざなど急なケガにも使えるので、どうせ買うのであれば600ナノメートルの1000ナノメートルのうちの2-4種類の波長の長さの組み合わせのものがお薦めです。
次に周波数ですが、これは1秒間に何回オンとオフを繰り返しているのかということです。
100ヘルツであれば1分間に100回オンとオフを繰り返しているということですが、勿論、人間の肉眼では連続照射に見えます。
この周波数ですが、研究者・グループの間で若干の相違はあるものの連続照射から100ヘルツくらいのものが有効であるというのが共通見解です。
パルスの利点は皮膚や皮膚表面の色素などを容易にすり抜け、より深くの組織まで届くことです。
また、LLLTも若干温かくなるのですが、パルスであればこの温度上昇を防ぎ、急性期の故障や睾丸、脳のような熱に弱い器官への照射にも適しています。
照射距離。
次に照射距離ですが、照射距離が近いことの利点は一点に集まる光子の量が多くなることです。
一方で、照射距離を長くすると照射範囲が広くなります。
どちらが良いのかということは一概には言えませんが、照射距離を長くすると治療時間を長くする必要がありますし、ピンポイントで痛めている場合にはガラス管を装着して一点に光子を集中させることが出来る機械もあります。
あくまでも個人的な感想ですが、ガラス管を装着して一点に集中させると効果はより感じられます。
ただ、痛みのある個所だけに治療を施すというのも良くある間違いの一つです。
例えそれが関節炎であったとしても、心筋梗塞や動脈硬化などと同じように全身の病気だという風に捉えるべきだと私は考えています。
学術レベルで言っても、体内での低度で慢性的な炎症レベルが上がってある関節に痛みが出たり、全身の細胞に元気がなく、治癒過程が促進されていないというケースが多くあります。
個人の経験レベルで言っても、痛いところだけを治療しても治らないことが多いですし、逆に故障する時も全身が疲れているときに故障のリスクは大きくなります。
全身に光を当てるとは言わないまでも、関連のありそうな箇所に順番に光を照射することは重要であるという風に考えています。
LEDかレーザーか。
これまではレーザータイプのものが主流で、レーザータイプでなければ効かないと考えられていた時もありました。
レーザーの利点は光子を一か所に集中して集めることが出来るので、局所的な治療効果が高いことです。
LEDは板にたくさんの穴があり、そこから光を放出するのですが、利点は一度に広い範囲に照射できることです。
どちらも一長一短あるので、理想は両方買い揃え、レーザーによる局所治療とLEDによる全身への照射を並行させて行うことがベストだと思います。
個人的な体験談としては、寝る前に15分ほど太ももから上半身の全面にLEDで照射すると熟睡出来るように感じます。
以上が第5節の内容となります。
皆さま、セブスポーツが考える『A t h l e t e P h y s i c a l I n t e l l i g e n c e 』は如何でしたか?
この『A t h l e t e P h y s i c a l I n t e l l i g e n c e 』はアスリートとして必要最低限、知っていただきたい体の情報論と捉えております。
身体から産生されるエネルギーを細胞レベルまで落とし込んで説明したり、体に起きている炎症や痛みのメカニズム等々、様々な観点から論じてきました。
それぞれのアスリートがこの情報を一つのツールとして競技活動にお役立ていただけたら、これ以上の喜びはございません。
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