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第 2 章 抗炎症と抗酸化

「抗炎症と抗酸化とフリーラディカルについて」

●第2章 第9節

・自然の抗炎症剤

 

今回で『抗炎症』と『抗酸化』の最終回となります。

 

自然の抗炎症剤の特徴は副作用が全く、若しくは殆どないこと、効き始めるまでに時間がかかること(2-4 週間)です。

 

あとは個人的な意見として、炎症を抑えるために作られた薬とは違い、そもそも自然界に存在しているものの中にある炎症を抑える効果を持つ食品というのは抗炎症のみではなく、体全体にとっても良いものだと思います。

 

さて、それでは見ていきましょう。

 

●第2章 第10節

・クルクミン

 

自然界に存在する抗炎症剤のスターはクルクミンでしょう。

その抗炎症作用は 4 分の 5 の量のイブプロフェンに相当すると言われています。

 

ウコンの根に多く含まれており、カレーのスパイスとして使われるターメリックを知っている方もいるかと思います。

 

このターメリックに含まれているのがクルクミンです。

 

カレーを他の国の人達よりも多く摂取するインド人は(しかもスパイスの量が多い)、がんの発症率が低いというデータがあります。

 

また、ある研究では関節炎患者をクルクミンのみ摂取するグループとジクロフェナクのみを摂取するグループに分けたところ、クルクミンを摂取していた患者のグループの方がジクロフェナクを摂取していたグループよりも痛みが減少し、関節の動きも良くなっていたという結果が出ました。

 

炎症の指標となる血中の CRP 値(C-reactive protein)を測るとクルクミンを摂取していたグループの方が低いという結果になりました。

 

クルクミンは現在体内に存在する炎症誘発物質(TNF-alpha、NF-kapaB)を下げてくれるだけでなく、発生するはずの炎症誘発物質を抑えてくれる効果もあります。

 

また、クルクミンの効果を最大限得るにはレスベラトロールと一緒に摂取することが望ましいです。

 

レスベラトロールは赤ブドウに含まれるポリフェノールの一種で強い抗酸化作用を持っています。カプセル状のものも売られています。

 

ターメリック粉を料理に使うか、カプセルに入ったクルクミンを買うことをお薦めします。

 

約10gのターメリックには約300mgのクルクミンが含まれていると考えると市販のイブクイック3錠分くらいの効果はあるでしょう。

 

黒コショウに含まれているピペリンという物質がクルクミンの吸収率を10倍以上に引き上げてくれるので黒コショウと一緒に摂取することもおすすめです。

 

さて、10gのターメリックに 300mgのクルクミンという数字ですが健康のために使う場合は別として、抗炎症剤として使うには少々物足りないと思います。

 

しかし、ターメリックを使ったことがある方ならお分かりいただけると思いますが、10gのターメリックを摂取するのは、多くの人にとっては味的な問題として難しいと思います。

 

ですから、個人的にはカプセルフォームでの摂取、若しくは料理に使用するターメリックと併用するのがベストだと思います。

 

ここまで、クルクミンについて紹介しました。

ここからは、また別の自然界に存在する抗炎症剤を紹介していきたいと思います。

 

●第2章 第11節

・MSM (Methylsulfonylmethan)

 

MSM はメチルスルフォニルメタンの省略です。

 

名前の響きはとても化学物質のような感じがしますが、主な構成要素は硫黄で牛乳やトマト、果物等に若干含まれています(残念ながら少なすぎて抗炎症剤としては使えません)。

 

硫黄の天然温泉に浸かって、疲れを癒した方々もいらっしゃると思いますが、古くは 3000年前のトロイア戦争でギリシャ軍の指揮官であるアガメムノンが兵士の疲れを癒すために用いました。

 

モーツァルトやベートーベンも使っていたものです。

 

そして今から約 150 年前にロシアの科学者アレクサンダー・セイツェトフ博士が MSM の母体である DMSO(Dimethylsulfoxid)を合成することに成功し、現在ではパウダーやカプセルフォームの MSM を購入することが出来ます。

 

MSM は関節炎、腰痛、偏頭痛、筋肉痛、頭痛等、多くの痛みに対して鎮痛消炎効果を発揮します。

MSM は炎症を促進する酵素の働きを抑え、損傷が起きている箇所への白血球の流入を抑え、結果として炎症を抑えます。

 

また、以前の掲載でも述べたように損傷している箇所には常にフリーラディカルが関与し、同時に付随的にさらに発生するのですが MSM はこのフリーラディカルの掃除屋さんとしても良く働きます。

 

損傷した粒子や攻撃的な粒子を根絶してくれるわけです。

 

内出血に対しても同様に効果的に働きかけ、治癒過程を促進してくれます。

鎮痛効果に関して言えば、脊髄と脳へと送られる痛みのシグナルを抑制するということに基づいています。

 

よく市販の湿布薬や非ステロイド系抗炎症剤の痛み止めに「本製品は痛みや腫れなどの症状を緩和するものであり痛みの原因に効くものではありません」という記述がありますが、治癒過程において腫れや痛みを緩和させることは重要なことなのです。

 

また、極論すれば競技者にとって「治る」という言葉の意味は「痛みなく走れるという状態」とも言えるでしょう。

 

腫れや痛み等の症状を緩和することは、実はものすごく重要なことであり、「痛み止めなんて痛みを感じなくさせるだけで意味ないでしょ」という人達は炎症が痛みを引き起こし、炎症によって引き起こされた痛みによって更なる炎症が生じるというメカニズムを見落としています。

 

MSM は腱炎、関節炎、腱鞘炎、靱帯の損傷、肉離れ等広範囲の故障に効くだけではなく、運動後の筋疲労を緩和する効果もあります。

 

ある実験で被験者を 10日間、MSM を摂取するグループとプラセボ群に分け、14km走を実施した30分後、2時間後、24時間後、48時間後に血液を採取し筋の損傷を調べた結果、MSM を摂取したグループではプラセボ群に比べて有意に筋肉の状態が良かったという結果が出ました。これは MSM のフリーラディカル除去能力に基づくものと思われます。

 

あまり知られていない MSM ですがカプセルタイプ、パウダー、ジェル状のものがインターネットを通じて簡単に購入することが出来ます。

 

経口摂取の場合、一日2gを上限に2回か3回に分けて摂取するとよいと思います。

ぜひ、皆さん一度試してみてください。

 

●第2章 最終節

・具体的な抗酸化食品と抗炎症食品

 

最終節では、もう少し具体的な食品名を出していきたいと思います。

ただ先に書いておきたいのは、ごく一部で信じられているような、これさえ食べておけば元気になれるというスーパーフードは存在しません。

 

私たちの体の中では想像もつかないほどの栄養素、微量栄養素、酵素、微生物、細菌などが相互作用しています。そういった無数の要素がある中で、これさえ食べておけば元気になれるという食品はありません。

 

ちなみに、これさえあれば元気でいられるという食品を私が一つ選ぶなら、それは玄米です。

 

ただし、それはもし私が戦争に行く時、限られた携行食料で何日も山岳地帯を動き回り、敵と戦うのに一つ選ぶならという意味です。

 

普通に生活をしていて玄米を食べれば、とにかく元気になれるわけではないということはお分かりいただけると思います。

 

では、どのような食材を選べば良いのかということですが、基準は簡単で色とりどりの食材を選ぶことです。

 

あなたは「そんなおばあちゃんの知恵を偉そうに話すんじゃない」と思うかもしれませんが、やはり昔の人が経験的に体に良いと思っていたことには根拠があります。

 

実は植物もまた人間と同じように、進化の過程の中で抗酸化システムを発展させてきました。そして、どうやら植物の抗酸化システムの役割を担っているのは色素であるということがわかってきました。

 

あなたもカテキン、ポリフェノール、βカロチン、アントシアニンなど宣伝広告で有名になっているものをご存知かと思います。

 

例えばカテキンは緑茶の緑、カカオポリフェノールはダークココアやダークチョコレートの黒色、ブルーベリーの紫はアントシアニン、人参の赤色はβカロチン、全て色が濃いですよね?

 

そして、これら色素はそれぞれ微妙に異なる働きを持っています。

 

例えば、緑茶とダークココア、どちらの方が体に良い食べ物かという質問は無意味ではないものの、ベストアンサーはどちらも飲むのが望ましいということになります。

特に野菜や果物は色とりどりのものを摂ることで、様々な種類のビタミン類を摂ることにもつながります。

 

野菜と果物に関していえば、挙げだしたらキリがないので、色とりどりのもの、そしてできれば旬のものを選ぶようにしてください。

やはり、微妙にではありますが、冬に売られている胡瓜と夏に売られている胡瓜では栄養価が違います。

 

あまり細かいことを言いだすとキリがないのですが、厳密に言えば窒素肥料を使って、単位面積当たりの収穫料を増やして作った農作物と窒素肥料を使わずに作った農作物では、後者の方が栄養価は高いです。

 

自然の理を無視して作った農作物の栄養価は、自然の理にしたがって作った農作物よりも栄養価が落ちてしまいます。

 

とはいえ、農業技術の発展のおかげで、我々は国産の野菜を安価で食べることができるので、全てが悪いというわけではありません。

 

さて、次に抗炎症作用を持つ食品ですが、主なものは下記にあげる食品群になります。

 

・ウコン(クルクミン)

・パイナップル(ブロメライン酵素)

・生姜(生姜ポリフェノール)

・ナッツ(オメガ3脂肪酸)

・サーモン(オメガ3脂肪酸)

・アボカド(オメガ3脂肪酸)

・オリーブオイル(オメガ9脂肪酸)

 

中でも特に強力なのが、ウコンの粉で昔はウコンの粉末をお湯で溶いたものを布に浸し、湿布薬としても使われていました。

今でもウルトラマラソンランナーのスコット・ジュレクがウコンの粉湿布を使っています。

 

さて、今回は故障という観点も交えながら書いてきましたが、ここで述べてきた内容はそのままウェルビーイングにつながる内容です。

 

例えば、ブレインフォグ(脳の霧)と呼ばれる頭がボーっとして集中できないという状態がありますが、これも脳内で起きる慢性的な炎症の一つです。

 

そして、問題は一度最高の体調を作ってみない限り、本人はそれがずっと普通だと思い続けているので、それが一種の体調不良であることに気づかないということです。

 

ほんの一例を挙げておくと、一日 3 食をコンビニ食やファーストフード店で済ます生活をずっと続けている人は、それが普通になっています。

それが普通になっているので、ブレインフォグが普通の状態です。

 

本人は生まれつき自分は出来が悪い人間だと思い込んでいるが、実は最高の体調を作るだけでそれが解決できたりする訳です。

 

では、日常生活では何から始めていけば良いのでしょうか?

 

さて、今回は故障という観点も交えながら書いてきましたが、ここで述べてきた内容はそのままウェルビーイングにつながる内容です。

 

例えば、ブレインフォグ(脳の霧)と呼ばれる頭がぼーっとして集中できないという状態がありますが、これも脳内で起きる慢性的な炎症の一つです。

 

そして、問題は一度最高の体調を作ってみない限り、本人はそれがずっと普通だと思い続けているので、それが一種の体調不良であることに気づかないということです。

 

ほんの一例を挙げておくと、一日3食をコンビニ食やファーストフード店で済ます生活をずっと続けている人は、それが普通になっています。

それが普通になっているので、ブレインフォグが普通の状態です。

 

本人は生まれつき自分は出来が悪い人間だと思い込んでいるが、実は最高の体調を作るだけでそれが解決できたりする訳です。

 

では、日常生活では何から始めていけば良いのでしょうか?

 

実は使う『油』の種類から変えるのが一番先です。

 

上記のナッツやサーモンに含まれる「オメガ3脂肪酸」とは何なのか気になった方も多いかもしれませんが、これらも油の一種類です。

 

次回の新章からは『油』の話について解説していきます。

 

以上までが第2章の内容となります。

 

掲載内容について質問・疑問がございましたら、こちらの問い合わせアドレスまでメールをお送りください。

 

適宜ご返答してまいります。

 

参考文献

『ミトコンドリア革命』宇野克明著 東邦出版

 

『Warum Papaya kühlt und Zucker heiß macht』

Prof. Dr. Michaela Döll 著

 

『Die Entuzündung die heimliche Killer』

Prof. Dr. Michaela Döll 著

 

『MSM Natürliche Hilfe bei Entzündungen und Schmerzen』

Prof. Dr. Michaela Döll 著

 

参考記事

『Ernährung: Freie Radikale』

Dieter Hogen と Janett Walter

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